輝く城のなかへ 大手拓次
輝く城のなかへ
みなとを出る船は黄色い帆をあげて去つた。
嘴(くちばし)は木の葉の群をささやいて
海の鳥はけむりを焚(た)いてゐる。
磯邊の草は亡靈の影をそだてて、
わきかへるうしほのなかへわたしは身をなげる。
わたしの身にからまる魚のうろこをぬいで、
泥土に輝く城のなかへ。
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輝く城のなかへ
みなとを出る船は黄色い帆をあげて去つた。
嘴(くちばし)は木の葉の群をささやいて
海の鳥はけむりを焚(た)いてゐる。
磯邊の草は亡靈の影をそだてて、
わきかへるうしほのなかへわたしは身をなげる。
わたしの身にからまる魚のうろこをぬいで、
泥土に輝く城のなかへ。