法性のみち 大手拓次
法性のみち
わたしはきものをぬぎ、
じゆばんをぬいで、
りんごの實のやうなはだかになつて、
ひたすらに法性(ほふしやう)のみちをもとめる。
わたしをわらふあざけりのこゑ、
わたしをわらふそしりのこゑ、
それはみなてる日(ひ)にむされたうじむしのこゑである。
わたしのからだはほがらかにあけぼのへはしる。
わたしのあるいてゆく路のくさは
ひとつひとつをとめとなり、
手をのべてはわたしの足をだき、
唇をだしてはわたしの膝をなめる。
すずしくさびしい野邊のくさは、
うつくしいをとめとなつて豐麗なからだをわたしのまへにさしのべる。
わたしの青春はけものとなつてもえる。
[やぶちゃん注:「法性」辞書的な意味を示しておく。仏教用語で一切の存在・現象の真の本性。万有の本体。「真如」「実相」「法界(ほっかい)」とも言う。「ほっしょう」と読むことが多い。]
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