斷橋! 萩原朔太郎
斷橋! 夜道を走る汽車まで、一つの赤い燈火を示せよ。今そこに危險がある。斷橋! 斷橋! ああ悲鳴は風をつんざく。だれがそれを知るか。精神は闇の曠野をひた走る。急行し、急行し、急行し、彼の悲劇の終驛へと。
[やぶちゃん注:大正一一(一九二二)年四月アルス刊のアフォリズム集「新しき欲情」の「第五放射線」より。これは後の散文詩集「宿命」(昭和一四(一九二九)年創元社刊)に、
斷橋
夜道を走る汽車まで、一つの赤い燈火を示せよ。今そこに危險がある。斷橋! 斷橋! ああ悲鳴は風をつんざく。だれがそれを知るか。精神は闇の曠野をひた走る。急行し、急行し、急行し、彼の悲劇の終驛へと。
の形で載る。萩原朔太郎にとって――総ての世界の通路は「斷橋」していた――のだと思う。近々、そうした彼のテクストをHPで公開する予定である。]