靑白い馬 大手拓次
靑白い馬
いちはやく草(さう)は手をたれて祈りをささげた。
靑白い馬は水にうつる頭(あたま)の角(つの)に恐れて、草のなかをかけめぐり、
そのあへぐ鼻息は死人の匂ひのやうに萬物をくさらせる。
眼は沼のをどみのやうにいきれて泡だち、
足は銀の細工のやうにうすぐもる光をはなつ。
靑白い馬は
黑(くろ)の馬よろひをつけて、ふたたび水のうへに嘆息をふきかける。
その あたまのうへに芽(め)をだした角(つの)は
惡のよろこびにいきいきとして 食物(しよくもつ)をとる。
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靑白い馬
いちはやく草(さう)は手をたれて祈りをささげた。
靑白い馬は水にうつる頭(あたま)の角(つの)に恐れて、草のなかをかけめぐり、
そのあへぐ鼻息は死人の匂ひのやうに萬物をくさらせる。
眼は沼のをどみのやうにいきれて泡だち、
足は銀の細工のやうにうすぐもる光をはなつ。
靑白い馬は
黑(くろ)の馬よろひをつけて、ふたたび水のうへに嘆息をふきかける。
その あたまのうへに芽(め)をだした角(つの)は
惡のよろこびにいきいきとして 食物(しよくもつ)をとる。