鬼城句集 夏之部 天文 五月雨
天文
五月雨 五月雨や起き上りたる根無草
水泡立ちて鴛鴦の古江のさみだるゝ
[やぶちゃん注:「鴛鴦」はオシドリの古名で「をし」と読む。]
五月雨のふる潰したる藁家かな
五月雨や松笠燃して草の宿
鹽湯や朝からけむる五月雨
[やぶちゃん注:「鹽」は底本では「皿」の上部が〔「土」(左)+「鹵」(右)〕の字体。「塩」の正字である「鹽」の異体字であるのでかく表字した。「鹽湯」は塩水を含んだ温泉若しくは塩水を沸かした風呂で「しほぶろ」と当て読みしているか。識者の御教授を乞う。]
五月雨や浮き上りたる船住居
[やぶちゃん注:「船住居」は「ふなずまひ」と読んでいるか。識者の御教授を乞う。]
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