きれをくびにまいた死人 大手拓次
きれをくびにまいた死人
ふとつてゐて、
ぢつとつかれたやうにものをみつめてゐる顏、
そのかほもくびのまきものも、
すてられた果實(くだもの)のやうにものうくしづまり、
くさかげろふのやうなうすあをい息(いき)にぬれてゐる。
ながれる風はとしをとり、
そのまぼろしは大きな淵にむかへられて、
いつとなくしづんでいつた。
さうして あとには骨だつた黑いりんかくがのこつてゐる。
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きれをくびにまいた死人
ふとつてゐて、
ぢつとつかれたやうにものをみつめてゐる顏、
そのかほもくびのまきものも、
すてられた果實(くだもの)のやうにものうくしづまり、
くさかげろふのやうなうすあをい息(いき)にぬれてゐる。
ながれる風はとしをとり、
そのまぼろしは大きな淵にむかへられて、
いつとなくしづんでいつた。
さうして あとには骨だつた黑いりんかくがのこつてゐる。