黄色い帽子の蛇 大手拓次
黄色い帽子の蛇
ながいあひだ、
草の葉のなかに笛をふいてゐたひとりの蛇、
草の葉の色に染(そ)められて化粧する蛇のくるしみ、
夜(よる)の花をにほはせる接吻のうねりのやうに、
火と焰との輪をとばし、
眞黄色な、靑(あを)ずんだ帽子のしたに、
なめらかな銀(ぎん)のおもちやのやうな蛇の顏(かほ)があらはれた。
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黄色い帽子の蛇
ながいあひだ、
草の葉のなかに笛をふいてゐたひとりの蛇、
草の葉の色に染(そ)められて化粧する蛇のくるしみ、
夜(よる)の花をにほはせる接吻のうねりのやうに、
火と焰との輪をとばし、
眞黄色な、靑(あを)ずんだ帽子のしたに、
なめらかな銀(ぎん)のおもちやのやうな蛇の顏(かほ)があらはれた。