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2013/06/02

敷島の日本の國に人二人ありとし思はば何か嘆かむ 萩原朔太郎 (評釈)

敷島の日本(やまと)の國に人二人ありとし思はば何か嘆かむ

 世界の中にただ二人、君と我とが愛し合つてる。人生の憂苦何するものぞ。我等尚戰はん! 戀愛歌としてこれほど力強く、感情の高調した表現は外にない。萬葉集戀歌の壓卷である。

[やぶちゃん注:昭和六(一九三一)年第一書房刊「恋愛名歌集」より。一般に「思はば」は「もはば」と詠む。当該歌は「万葉集」の巻第十三の三二四九番歌で、前の三二四八番歌とともに(引用は中西進氏の講談社文庫版を正字化して示した)、

   相聞

磯城島(しきしま)の 日本の國に 人多(さは)に 滿ちてあれども 藤波の 思ひ纏(まつ)はり 若草の 思ひつきにし 君が目に 戀ひや明かさむ 長きこの夜を

    反歌

磯城島の日本の國に人二人ありとし思(も)はば何か嘆かむ

同巻「相聞」の冒頭に配されてある。
 但し、私はこの朔太郎の解は誤読を招く虞があるように思われる。この反歌の意は、「世界は二人のために」と甘く囁く、どこぞの古い脳天気な歌謡曲なんどとは全く訳が違うのである(私はあの糞甘ったるい歌がすこぶる附きで大嫌いである)。これは修辞的にも明白な反実仮想の技法であって――この世に、恋しい人が二人いるとしたら、一体、何を歎く必要があるであろう、その、必要はあるまい……しかし、私が恋する相手は、あなた一人しかこの世にはいないのだ――というのである。老婆心ながら附記しておく。]

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