すみれの葉の香料 大手拓次
すみれの葉の香料
ものすごくしめりをおびて
わきおこる惱亂(なうらん)の靑蜘蛛(あをぐも)、
柩車(きうしや)のすべりゆくかげとかたちと、
よりそひ かさなりあつて、
ながい吐息(といき)をもらす。
時をたべつくし、
亡(ほろ)びをよみがへらせる思(おも)ひでの牝犬(めいぬ)。
[やぶちゃん注:「靑蜘蛛」単なる大手拓次のイメージの産物であるのかもしれないが、イメージ対象としては実在する。クモ綱クモ目オオツチグモ科コバルトブルー(コバルトブルータランチュラ) Haplopelma lividum Smith, 1996 である。ウィキの「コバルトブルータランチュラ」によれば、体長は♂で四センチメートル、♀で六センチメートル、脚を含めた全長(レッグ・スパン)は♂が八センチメートル、♀は十二センチメートル。体色は金属光沢のある青・緑青色などの変異がある。地中に棲む。現在はペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されているが、性質が荒い上に動きが非常に素早く、毒性も強いため扱いには注意が必要、とある(画像が見たい方のみ自己責任でここをクリック。グーグルの「Haplopelma lividum」の画像検索。確かに怪しくソソる色ではある)。]
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