鬼城句集 夏之部 麦刈
麥刈 麥刈や娘二人の女わざ
麥刈の大きな笠に西日かな
麥刈れば水到り田となりぬ
麥打の轉子に飛べるてふてふかな
[やぶちゃん注:底本では「てふてふ」の後半は踊り字「〱」。「轉子」は恐らく「てんし」と読んでおり、麦や大豆などの脱穀作業に用いる農具の一種、唐棹・殻竿(からざお/さお 唐竿・連枷・くるりなどとも呼称し、長い竹竿の先端に回転する短い棒を取り付けた形状をし、この竿を持って莚の上に広げた穀物を短い棒を回転させながら叩いて脱穀する。このような脱穀方法を千歯扱きなどの「梳(す)き」に対して「打穀」と呼ぶ)自体、若しくはその先端の回転部分を指していると考えられる(唐棹の解説はウィキの「唐棹」に拠った)。]