鬼城句集 夏之部 蚊遣
蚊遣 蚊遣して馬を愛する土豪かな
ほそほそと白き煙や蚊遣香
[やぶちゃん注:底本では「ほそほそ」の後半は踊り字「〱」。]
川端に住ンで流すや蚊を燒く火
三たび起きて蚊を燒く老となりにけり
蚊をいぶしに淺間颪の名殘かな
水郷や家くゞらする蚊を燒く火
[やぶちゃん注:「くゞらする」の「ゞ」は底本では「〵」に濁点の踊り字。これはユニコードには似たものとして「〴」はあるが、全く同じものはない。]
大榾の夜々の蚊遣に細りけり