指さきに吸ひつく魚のこゝろよりつめたく秋は流れそめたり 萩原朔太郎
指(ゆび)さきに吸(す)ひつく魚(うを)のこゝろよりつめたく秋(あき)は流(なが)れそめたり
[やぶちゃん注:大正二(一九一三)年十月十日附『上毛新聞』に「夢みるひと」の署名で、「秋思」という総標題で掲載された五首の巻頭歌。これは原型が底本全集の第二巻所収の自筆ノート「習作集第九卷(一九一三、九)」に、「中秋雜詠」の総標題で載る十九首の巻頭歌として記されており、そこでは、
ゆびさきに吸ひつく魚のこゝろより
つめたく秋は流れそめたり
と、一部平仮名表記で、分かち書きルビなしで載る。]