自我 萩原朔太郎 (詩集「宿命」の「鏡」の初出)
自我
鏡のうしろへ廻つてみても、私はそこに居ないのですよ。
お孃さん!
[やぶちゃん注:『日本詩人』第六巻第六号・大正一五(一九二六)年六月号に掲載された。後の詩集「宿命」(昭和一四(一九二九)年創元社刊)では、標題を「鏡」に変え、『私』を括弧書きにして、以下のように一行詩として標記し直されてある。
鏡
鏡のうしろへ廻つてみても、「私」はそこに居ないのですよ。お孃さん!
なお、ここで本ブログの他の電子化作品をも読まれている方に申し上げておきたいのだが、私の使用しているニフティのブログではユニコード統合漢字の一部が使用出来ない(因みにメールでも同じで送付先では文字化けする。私としては何とかして貰いたいというのが本音である)。この「廻」の正字である、「回」が「囘」となっている字体(U+2231E)も使用不能で、この漢字は種々の既テクストに頻出している。私の各種原稿では(U+2231E)を使用しつつ、ブログ公開版では「廻」に入れ替えて公開している。HP版を予定しているものについては総て、その(U+2231E)に置き換えるようにしているので、悪しからず。]
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