水草の手 大手拓次
水草の手
わたしのあしのうらをかいておくれ、
おしろい花のなかをくぐつてゆく花蜂(はなばち)のやうに、
わたしのあしのうらをそつとかいておくれ。
きんいろのこなをちらし、
ぶんぶんとはねをならす蜂のやうに、
おまへのまつしろいいたづらな手で
わたしのあしのうらをかいておくれ、
水草(みづくさ)のやうにつめたくしなやかなおまへの手で、
思ひでにはにかむわたしのあしのうらを
しづかにしづかにかいておくれ。
« 鬼城句集 夏之部 夏野 | トップページ | この秋は何で年よる雲に鳥 芭蕉 萩原朔太郎 (評釈) »
水草の手
わたしのあしのうらをかいておくれ、
おしろい花のなかをくぐつてゆく花蜂(はなばち)のやうに、
わたしのあしのうらをそつとかいておくれ。
きんいろのこなをちらし、
ぶんぶんとはねをならす蜂のやうに、
おまへのまつしろいいたづらな手で
わたしのあしのうらをかいておくれ、
水草(みづくさ)のやうにつめたくしなやかなおまへの手で、
思ひでにはにかむわたしのあしのうらを
しづかにしづかにかいておくれ。