「らんすゐ」追跡1
8:54の教え子のメール
*
「すゐ」は、やはり「水」から出た石の名称であると思いたいです、そうでなければこの詩のイメージが崩れます。「殺人事件」で「噴水」を「ふんすゐ」とわざわざひらがなで標記した彼。その詩の第五行の「~~は○○」という体言止め。同じ神経回路の閃きから紡ぎだされた詩句のように感じます。
とほい空でぴすとるが鳴る。
またぴすとるが鳴る。
ああ私の探偵は玻璃の衣裳をきて、
こひびとの窓からしのびこむ、
床は晶玉、
(以下、略)
取り急ぎ、いま感じたことです。
*
なるほど!
「らん水石」か!
「水石」?!
自然石を台座や水盤に砂をしいて配置して鑑賞する「水石」!
こりゃ、まさに盆景と繋がる!
そこで早速只今、江戸の石フリーク木内石亭の「雲根志」の目次をめくってみた。……残念ながら「らんすい石」と発音するものはなさそうだ。……しかし……何となく、確かにこの「すゐ」は「水」だなあ、という気がしてきたぞ……
因みに、ふと目に止まったのは――
「スランガステヰン」
だった――
あまりご存知ないか? これ、石の名前なんだわ。
オランダ語“slangensteen”(スランガステーン)で「蛇の石」の意である。
江戸時代、オランダ人が伝えた薬の名で、蛇の頭から採取するとされた、黒くて碁石に似た白黒の斑紋を持った石で、腫れ物の膿を吸い、毒を消す力を持つとされ、「蛇頂石」「吸毒石」とも呼んだ。所謂、中国の竜骨で、古代の象やその他何でもかんでも変わった化石は「竜骨」と称したんだな、これは。
流石は石亭、「竜骨記」という、これだけの考証本も書いてるぐらいだ。
感心のある向きは僕の「和漢三才圖會 卷第四十五 龍蛇部 龍類 蛇類」の「龍」
の注でマニアックにしてフリーキーに追跡したものがあるからご覧あれ(かなり長い。ページ内検索に「須羅牟加湞天」(スランカステンと読む)を入れてお捜しあれ)。
何で目に止まったかって?
だってほら!
これ、「らん」と「す」と「ゐ」が入ってるんだわさ!
§(*^o^*)§
……閑話休題。今少し、調べてみよっと!
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