木製の人魚 大手拓次
木製の人魚
こゑはとほくをまねき、
しづかにべにの鳩(はと)をうなづかせ、
よれよれてのぼる火繩(ひなは)の秋(あき)をうつろにする。
こゑはさびしくぬけて
うつろを見(み)はり、
ながれる身(み)のうへににほひをうつす。
くちびるはあをくもえて、
うみのまくらにねむり、
むらがりしづむ藻草(もぐさ)のかげに眼(め)をよせる。
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木製の人魚
こゑはとほくをまねき、
しづかにべにの鳩(はと)をうなづかせ、
よれよれてのぼる火繩(ひなは)の秋(あき)をうつろにする。
こゑはさびしくぬけて
うつろを見(み)はり、
ながれる身(み)のうへににほひをうつす。
くちびるはあをくもえて、
うみのまくらにねむり、
むらがりしづむ藻草(もぐさ)のかげに眼(め)をよせる。