鬼城句集 夏之部 まひまひ
まひまひ まひまひのきりきり澄ます堰口かな
月浮いてまひまひ遊ぶ野川かな
まひまひや影ありありと水の底
[やぶちゃん注:「まひまひ」の後半は標題の季語も含め、底本では四箇所総てが踊り字「〱」。この「まひまひ」は前項の「水馬」の注で示した通り、「舞舞虫」のことで、鞘翅(コウチュウ)目飽食(オサムシ)亜目オサムシ上科ミズスマシ科 Gyrinidae に属する甲虫ミズスマシの仲間の別称。「堰口」は「せきぐち」で字余りである。「いねぐち」「ゆぐち」という特殊な読み方が存在するが、であれば鬼城はルビを振るはずである。]