鬼城句集 夏之部 柘榴取木
柘榴取木 泥塗つて柘榴の花の取木かな
[やぶちゃん注:「柘榴取木」私は既成の歳時記が不満で嫌いであり、しかも作句に際しても季語も通常意識しない人間(始めた中学の頃は「層雲」の自由律俳句であったため)であるから、このように季題表記をするのだということを初めて知った。「取木」は「とりき」で、茎の途中から根を出させ、そこで切り取ることで新たな株を得る方法を言う(枝を切断してしまう挿し木とは異なる)。樹木の枝の先端からある程度、下の位置で樹皮を一回り切除し、その部分を乾燥しないようにミズゴケなどで巻いて不定根を発生させた上、根の直下で切除して植える(枝を土中に曲げて固定する方法(図)や詳細はウィキの「取り木」を参照されたい)。取り木は六月から七月の梅雨の時期が適期とされ(鉢上げ(切り離し)は九月)、適した樹木はモミジ・サクラ・オウバイ・エゾマツ・カリンや、このザクロなどとされる。枝ぶりのよい部分を採るのに盆栽ではしばしば行われる技法らしい。]
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