火喰鳥 一首 中島敦
火喰鳥
火くひ鳥火のみか石も木も砂も泥も食はんず面(つら)構へかも
[やぶちゃん注:「河馬」歌群の一。
「火喰鳥」ダチョウ目ヒクイドリ科 Casuarius 属ヒクイドリ Casuarius casuarius。和名は喉の赤い肉垂が火を食べているかのように見えたことから名づけられたと考えられる。インドネシア・ニューギニア・オーストラリア北東部の熱帯雨林に分布し、ヒクイドリ科の中では最大で、地球上では二番目に体重の重い鳥類であり、最大個体では体重八十五キログラム、全長一九〇センチメートルに達する。以下、参照したウィキの「ヒクイドリ」によれば、『やや前かがみになっていることから体高はエミューに及ばないが、体重は現生鳥類の中ではダチョウに次いで重い。アラビアダチョウ(Struthio camelus syriacus)およびニュージーランドのモアが絶滅して以降はアジア最大の鳥類である。頭に骨質の茶褐色のトサカがあり、藪の中で行動する際にヘルメットの役割を果たすもの、また暑い熱帯雨林で体を冷やす役割がある』と推測されており、『毛髪状の羽毛は黒く、堅くしっかりとしており、翼の羽毛に至っては羽軸しか残存しない。顔と喉は青く、喉から垂れ下がる二本の赤色の肉垂を有し、体色は極端な性的二型は示さないが、メスの方が大きく、長いトサカを持ち、肌の露出している部分は明るい色をしている。幼鳥は茶色の縦縞の模様をした羽毛を持つ』。『他のダチョウ目の鳥類と同様に、大柄な体躯に比して翼は小さく飛べないが、脚力が強く時速』約五〇キロ程度で走ることが可能。三本の指には大きくて丈夫な刃物のように鋭い一二センチメートル程の爪を有し、『大鱗に覆われた頑丈な脚をもつ。性質は用心深く臆病だが意外と気性が荒い一面がある。この刃物のような鉤爪は人や犬を殺す能力もある』とある。]