靑いとんぼ 北原白秋
靑いとんぼ
靑いとんぼの眼を見れば
綠の、銀の、エメロウド、
靑いとんぼの薄き翅(はね)
燈心草(とうしんさう)の穗に光る。
靑いとんぼの飛びゆくは
魔法つかひの手練(てだれ)かな。
靑いとんぼを捕ふれば
女役者の肌ざはり。
靑いとんぼの奇麗さは
手に觸(さは)るすら恐ろしく、
靑いとんぼの落(おち)つきは
眼にねたきまで憎々し。
靑いとんぼをきりきりと
夏の雪駄で蹈みつぶす。
*
(昭和25(1950)年新潮文庫「北原白秋詩集」 「思ひ出」より)
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靑いとんぼ
靑いとんぼの眼を見れば
綠の、銀の、エメロウド、
靑いとんぼの薄き翅(はね)
燈心草(とうしんさう)の穗に光る。
靑いとんぼの飛びゆくは
魔法つかひの手練(てだれ)かな。
靑いとんぼを捕ふれば
女役者の肌ざはり。
靑いとんぼの奇麗さは
手に觸(さは)るすら恐ろしく、
靑いとんぼの落(おち)つきは
眼にねたきまで憎々し。
靑いとんぼをきりきりと
夏の雪駄で蹈みつぶす。
*
(昭和25(1950)年新潮文庫「北原白秋詩集」 「思ひ出」より)