わらひのひらめき 大手拓次
わらひのひらめき
あのしめやかなうれひにとざされた顏のなかから、
をりふしにこぼれでる
あはあはしいわらひのひらめき。
しろくうるほひのあるひらめき、
それは誰(だれ)にこたへたわらひでせう。
きぬずれのおとのやうなひらめき、
それはだれをむかへるわらひでせう。
うれひにとざされた顏のなかに咲きいでる
みづいろのともしびの花、
ふしめしたをとめよ、
あなたの肌のそよかぜは誰(だれ)へふいてゆくのでせう。
« 鬼城句集 夏之部 端午 | トップページ | (放散する電光のやうに、あめいばの觸手のやうに、彼女は無數の手を所有して居る、手は上下左右四方八方十方世界に伸びて行く……) 萩原朔太郎 »