ひたすらに南航 五首 中島敦 (「小笠原紀行」より)
ひたすらに南航
南東風(みなみこち)吹きくれば海の上の皺立ち千々にきらゝけきかも
久方の空に光はみなぎらひ明るき海を白き汽船(ふね)行く
みんなみの陽光(ひかり)うらうらとわたつみの圓(まろ)く明るく滿ち膨れゐる
[やぶちゃん注:「うらうらと」の「うら」後半は底本では踊り字「〱」。]
目くるめく海の靑さや地獄なる紺靑鬼(こんじやうき)狂ひ眼内(めぬち)に躍る
午後三時雲やゝ出でて海の上一ところ白し輕きローリング
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ひたすらに南航
南東風(みなみこち)吹きくれば海の上の皺立ち千々にきらゝけきかも
久方の空に光はみなぎらひ明るき海を白き汽船(ふね)行く
みんなみの陽光(ひかり)うらうらとわたつみの圓(まろ)く明るく滿ち膨れゐる
[やぶちゃん注:「うらうらと」の「うら」後半は底本では踊り字「〱」。]
目くるめく海の靑さや地獄なる紺靑鬼(こんじやうき)狂ひ眼内(めぬち)に躍る
午後三時雲やゝ出でて海の上一ところ白し輕きローリング