清泉女学院入学夢
本未明の夢。
僕は男でありながら、清泉女学院の高校一年生の女子高生として入学するのである。
無論、あの制服で、スカートも穿き、しかも髪は黒々とした三つ編みなのである(それは僕が言うのも何なのだが僕の地毛であることは確かであって所謂カツラのようには見えない美しい緑の黒髪なのであった)。
しかし――顔は高校時代のやさ男の僕であり――しかもおぞましいことに「その僕」は現在の56歳であることを理解しており――僕は男で56歳でありながら、しかも16歳の少年の面影をたたえながら――総てを詐称して完璧な女装で清泉女学院に入学している――のである。
そうして授業が始まるのだが、その授業は何故か航空力学の講義であり、しかも――高高度から下降する飛行機が描く特殊な文字めいた極めて複雑な図形(表現するなら梵字模様を圧縮したような棒と点の組み合わされた暗号のような軌跡であって、それは何か人の顔や心霊写真のシュミラクラのようなものに似ていた)を幾つも並べて、それをアナグラム変換のようにして解読するという実習なのであった。
僕はその担当教官(「相棒」の米沢役の六角精児にすこぶる似ていた)から、目をつけられていて(出来ない生徒として、である。悪しからず)、この授業を落とすと、進級出来なくなるのではないか――とビビっているのであった――
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もっと続く夢であったが、今となっては記述に正当性を認めない。今朝4時起きした直後は総てはっきりと覚えていてすぐに記述しようと思ったのだが――「何か」――がそれ阻んだように思う。そのことからも、この夢には解読されては困るような何かの象徴があるのだと僕は実は疑っている。だから、私は検閲によって修正された可能性が高い、それ以降の夢記憶を敢えてカットし、確かな部分だけを以上に記したのである。
なお、清泉女学院は僕の書斎から一キロも離れていない、書斎の窓の向うの山稜の背後にあって、平日は、その校内放送の「御祈りの時間です」といった放送部員の女学生のアナウンスを毎日のように聴いているのである。
さらに言えば、僕の母は小学生の高学年の時、永らく清泉の受付をやっており、毎日のように学校帰りにあそこに寄っては母の仕事が終わるまで、あの学校の中にいたのであった。だから当時の沢山のシスターや先生や女子生徒のお姉さんたちを知っていたのである(特に生物の男の先生がミツバチの巣をそのまま僕に食べさせてくれたのと、母の同僚の若い事務員で鶏肉が嫌いな若い女性で後にシスターになった人や、僕が暇潰しに置いてあったオルガンを弾いていたらとても可愛がってくれた一人の女子高生を今も忘れないのである。暫くは実は日曜学校にさえ通って、そこで善悪の神の狭間で苦しむ少年を描いたクリスマスの芝居の主役も演じたのであった)。
これは僕に如何にも分析しにくい(からこそ意味を持っているのであろう)、奇体な夢といえる。

