死にもせぬ旅寢の果よ秋の暮 / 枯枝に鴉の止りけり秋の暮 芭蕉 萩原朔太郎 (評釈)
死にもせぬ旅寢の果よ秋の暮
枯枝に鴉の止りけり秋の暮
曠野の果に行きくれても、芭蕉はその「寂しおり」の杖を離さなかつた。枯枝に止つた一羽の烏は、彼の心の影像であり、ふと止り木に足を留めた、漂泊者の黑い凍りついたイメーヂだつた。
[やぶちゃん注:昭和一一(一九三六)年第一書房刊「郷愁の詩人與謝蕪村」の巻末に配された「附錄 芭蕉私見」より。]
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