鬼城句集 夏之部 田草取
田草取 田草取田の口とめて去にゝけり
二番草取つて八專晴にけり
[やぶちゃん注:「二番草」「にばんぐさ」は田植え後に行う二回目の除草。「八專」暦で干支の十干と十二支の五行が合う比和(ひわ)の日を言う。壬子から癸亥の一二日間のうちで間日(まび:八専の期間内でも同気の重ならない丑・辰・午・戌の四日。)を除いた八日。十干と十二支に五行を割り当てた際に干支の気(五行)が重なる日が全部で十二日あり、そのうちの八日が壬子から癸亥までの十二日間に集中していることから、この期間を特別な期間と考え、「専一」(同一の気を専らにする)と言い、それが八日分あることから「八専」と言う。年に六回あって、本来は吉はますます吉となり、凶はますます凶となるとされていたが、次第に凶の性質のみが強調されるようになり、現在では何事もうまく行かない凶日とされているようである。一説には棟上げは吉、結婚・畜類売買・神事仏事は忌むとする。八専の第一日目を「八専太郎」と称し、この日が雨(晴れ)なら他は晴(雨)とするともあり(以上は中経出版「世界宗教用語大事典」及びウィキの「八専」を参照した)、この中七下五の謂いはランドスーケープの鮮やかなヴィジュアルの他に、稲田の二番草が梅雨時期の始めか直前に行われたものとすれば(ただの思い付きでそういう事実については確認はしていない。ネット上で見つかるのは田の除草ではなく牧草の収穫データばかりで、そこでは梅雨時期の後に二番草収穫とする)、その日は抜けるような青空だった、だから後の七日は稲のためにしっかりと雨が降ってくれるという、農民の思いをも意味しているものではなかろうか? 農事識者の御教授を乞うものである。]
« 日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第六章 漁村の生活 1 | トップページ | うしろをむいた薔薇 大手拓次 »