うつり氣の薔薇 大手拓次
うつり氣の薔薇
としごろのほてりをもつ絹(きぬ)のばら、
うつり氣(ぎ)はとほくにあるけれど
靄(もや)のやうにふくらんでこぼれちり、
ささやくよ ささやくよ
うすべにいろの絹(きぬ)のばら、
おまへは今夜(こんや)、
ほんとによく咲(さ)いて こんもりしてゐるのねえ。
[やぶちゃん注:底本は二行目「うつり氣」の「氣」のルビが「き」に見える。「き」でも問題ないが、朗読の印象から創元文庫版の「ぎ」を採った。]
« 鬼城句集 夏之部 さつきの花 | トップページ | パイの歌 三首 中島敦 »
うつり氣の薔薇
としごろのほてりをもつ絹(きぬ)のばら、
うつり氣(ぎ)はとほくにあるけれど
靄(もや)のやうにふくらんでこぼれちり、
ささやくよ ささやくよ
うすべにいろの絹(きぬ)のばら、
おまへは今夜(こんや)、
ほんとによく咲(さ)いて こんもりしてゐるのねえ。
[やぶちゃん注:底本は二行目「うつり氣」の「氣」のルビが「き」に見える。「き」でも問題ないが、朗読の印象から創元文庫版の「ぎ」を採った。]