伊豆の歌――熱川堤泉にて 三首 中島敦 / 「伊豆の歌」了
――熱川温泉にて――
みんなみの濱の温泉(いでゆ)の裏藪にまろき柑子(かうじ)をわが摘みにけり
靑く酸き匂の指に殘りけり湯あがりにして柑子を摘めば
黑土に夏蜜柑あまた落ちてをり饐(す)えしにほひの甘さ堪へがたく
[やぶちゃん注:太字「にほひ」は底本では傍点「ヽ」。]
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――熱川温泉にて――
みんなみの濱の温泉(いでゆ)の裏藪にまろき柑子(かうじ)をわが摘みにけり
靑く酸き匂の指に殘りけり湯あがりにして柑子を摘めば
黑土に夏蜜柑あまた落ちてをり饐(す)えしにほひの甘さ堪へがたく
[やぶちゃん注:太字「にほひ」は底本では傍点「ヽ」。]