チンドン屋の歌 六首 中島敦
チンドン屋の歌
氷雨降る師走の街にチンドン屋の口上聞けばうら寒しもよ
歳末の大賣出のチンドン屋氷雨に濡れて嚏(はなひ)りにけり
まだらなる白粉の下ゆ嶮(けは)しかる生活の顏をわが見つるかも
俠客と鳥追と竝び口上の聲もさむざむと街はしぐるゝ
[やぶちゃん注:「さむざむ」の後半は底本では踊り字「〱」。]
鳥追の撥(ばち)もつ右手(めて)の手甲(てつかう)の雨に濡れつゝ動きゐるあはれ
上州は國定村の親分のくちびる靑く慄へたりけり
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チンドン屋の歌
氷雨降る師走の街にチンドン屋の口上聞けばうら寒しもよ
歳末の大賣出のチンドン屋氷雨に濡れて嚏(はなひ)りにけり
まだらなる白粉の下ゆ嶮(けは)しかる生活の顏をわが見つるかも
俠客と鳥追と竝び口上の聲もさむざむと街はしぐるゝ
[やぶちゃん注:「さむざむ」の後半は底本では踊り字「〱」。]
鳥追の撥(ばち)もつ右手(めて)の手甲(てつかう)の雨に濡れつゝ動きゐるあはれ
上州は國定村の親分のくちびる靑く慄へたりけり