日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第八章 東京に於る生活 11 チョウナと芋洗い
大工が仕事をしているのを見てハラハラするのは、横材を切り刻むのに素足でその上に立ち、剃刀のように鋭い手斧を、足の指から半インチより近い所までも、力まかせに打ち降すことである(図204)。彼等はめったに怪我をしないらしい。私は傷痕や、掃をなくした跡を見つけようとして、多数の大工を注意して見たが、傷のあるのはたった一人だった。私がその大工の注意をその傷痕に向けると、彼は微笑して、脚部にある、もっと大きな傷を私に見せ、手斧を治さしながらまた微笑した。
[やぶちゃん注:これは図から分かるように「釿(ちょうな)」である。ウィキの「釿」には何と! モースのこの部分が解説に現われる! これだから好きさ! ウィキペディア!]
図205は、市場で薩摩芋を洗っている人の写生図である。桶には芋が半分ばかり、水にひたっている。二本の長い丸太棒は真中で結んであり、人は単に両腕を前後させる丈で、棒の先端を桶の中で回転させる。市場へ行ってすぐに気がつくのは、蕪、大根、葱その他すべての根生野菜が、如何にも徹底的に洗い潔めてあることである。
« 日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第八章 東京に於る生活 10 God damn it ! | トップページ | 日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第八章 東京に於る生活 12 彫師と挽物師 »