ひとすぢの髮 大手拓次
ひとすぢの髮
うつくしいひとよ、
あなたから
わたしは けふ 髮の毛をひとすぢもらひました。
それをくるくると小指にまいて、
しばらくは 月の夜をあゆむやうな心持になりました。
あなたの ややさびしみをおびたうるはしさが、
旅人(たびびと)のうへをながれる雲のやうに
わたしのほとりにうかんでゐるのです。
« 鬼城句集 夏之部 靑葉 / 夏之部 了 | トップページ | 霧・ワルツ・ぎんがみ――秋冷羌笛賦 インドの益良雄(ますらを)の歌 五首 中島敦 »
« 鬼城句集 夏之部 靑葉 / 夏之部 了 | トップページ | 霧・ワルツ・ぎんがみ――秋冷羌笛賦 インドの益良雄(ますらを)の歌 五首 中島敦 »
ひとすぢの髮
うつくしいひとよ、
あなたから
わたしは けふ 髮の毛をひとすぢもらひました。
それをくるくると小指にまいて、
しばらくは 月の夜をあゆむやうな心持になりました。
あなたの ややさびしみをおびたうるはしさが、
旅人(たびびと)のうへをながれる雲のやうに
わたしのほとりにうかんでゐるのです。
« 鬼城句集 夏之部 靑葉 / 夏之部 了 | トップページ | 霧・ワルツ・ぎんがみ――秋冷羌笛賦 インドの益良雄(ますらを)の歌 五首 中島敦 »