伊豆の歌――熱川より下田へ 四首 中島敦
――熱川より下田へ――
雨上(あめあが)り農家の庭の黑土に落ちたる木瓜(ぼけ)の花の新しさ
掛茶庭の赤きたばこの廣告が風に搖れをり街道の晝
下田まで三里と聞きぬ斷崖(きりぎし)の赤きが下の海沿ひの道
だらだらに海にくだれる薄原(すすきはら)その果に光る夏蜜柑はも
[やぶちゃん注:太字「たばこ」は底本では「ヽ」。「だらだら」の後半は底本では踊り字「〱」。]
« 名もよばないでゐるけれど 大手拓次 | トップページ | 北條九代記 二位禪尼を評す »
――熱川より下田へ――
雨上(あめあが)り農家の庭の黑土に落ちたる木瓜(ぼけ)の花の新しさ
掛茶庭の赤きたばこの廣告が風に搖れをり街道の晝
下田まで三里と聞きぬ斷崖(きりぎし)の赤きが下の海沿ひの道
だらだらに海にくだれる薄原(すすきはら)その果に光る夏蜜柑はも
[やぶちゃん注:太字「たばこ」は底本では「ヽ」。「だらだら」の後半は底本では踊り字「〱」。]