鬼城句集 秋之部 秋の聲/二百十日
秋の聲 灯を消して夜を深うしぬ秋の聲
秋聲や石ころ二つ寄るところ
[やぶちゃん注:「秋の聲」は、もの寂しい秋を感じさせる風雨や木の葉、砧(きぬた)の音(ね)などの音を指す。]
二百十日 小百姓のあはれ灯して厄日かな
二百十日の月に揚げたる花火かな
[やぶちゃん注:「二百十日」立春から数えて二百十日目で旧暦八月一日頃(新暦九月一日頃。本二〇一三年も九月一日)。二百二十日とともに台風の襲来する厄日とされ、稲の穂ばらみの時期に当り、この日の前後に風害を防ぐ風祭(かざまつり)を行う風習があった。風祭の花火の風習は現在でも、知られた愛知県豊川市にある菟足(うたり)神社の手筒花火を始めとして各所に残る。]