霧・ワルツ・ぎんがみ――秋冷羌笛賦 元町ジェラール邸跡にて 三首 中島敦
(以下三首 於璽甖※瓴邸趾)[やぶちゃん字注:「※」=「雷」+「瓦」。]
そのかみのヂェラァル翁(おきな)こゝにして赤き瓦を燒きにけむかも
ヂェラァルが瓦燒きけむこの丘に秋草咲けりその名知らなく
秋草の茂みゆ掘りし赤瓦 Gerard(ヂェラァル)の G 沿えてありけり
[やぶちゃん注:「璽甖※瓴」「ヂェラァル」Alfred Gerard。既注済み。事蹟は前の歌群の私の注などを参照されたい。煉瓦製造業で成功した彼のオマージュのために日本名(中島敦が勝手に万葉仮名風に選んだものであろう)も瓦がふんだんに用いられている。煉瓦積みの重厚さを感じさせる。よい漢名和名である(外国人が自分で書くには限界を超えていると断ずるが。私の「藪」の字などは海外でサインした際、字として疑われることがしなしばであったから。)]

