あをい馬 大手拓次
あをい馬
なにかしら とほくにあるもののすがたを
ひるもゆめみながら わたしはのぞんでゐる。
それは
ひとひらの芙蓉の花のやうでもあり、
ながれゆく空の 雲のやうでもあり、
わたしの身を うしろからつきうごかす
よわよわしい しのびがたいちからのやうでもある。
さうして 不安から不安へと、
砂原(すなはら)のなかをたどつてゆく
わたしは いつぴきのあをい馬ではないだらうか。
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