『風俗畫報』臨時増刊「江島・鵠沼・逗子・金澤名所圖會」より江の島の部 21 先哲の詩(9)
游江島 松延年
妙音祠廟倚丹丘。
相海登臨萬里秋。
多少瑤臺連蜃氣。
參差琪樹挿鼈頭。
日升雲霧披三島。
天濶波濤織十洲。
御得長風從此去。
神仙何處不同遊。
[やぶちゃん注:松延年(まつのぶ とし)は水戸藩侍医。藤田東湖(文化三(一八〇六)年~安政二(一八五五)年)と親交があったらしい。弘道館入口にある「尊攘」の掛軸は彼の筆だそうである。以下の訓読、最後の二句は訓読も怪しく、意味もよく分からない。識者の御教授を乞う。
江の島に游ぶ 松延 年
妙音の祠廟 丹丘に倚り
相ひ海して登臨す 萬里の秋
多少の瑤臺(やうだい) 蜃氣に連なり
參差(しんし)の琪樹(きじゆ) 鼈頭(べつたう)に挿す
日升(のぼ)りて 雲霧 三島を披き
天濶(ひろ)くして 波濤十洲を織る
得長風を御(ぎよ)し 此(ここ)より去って
神仙 何處(いづく)にかある 不同の遊
「丹丘」中国で仙人が住むとされる場所。ここは江の島を譬えた。
「登臨」高い所に登って下方を眺めること。
「瑤臺」玉で飾った美しい御殿。玉の台(うてな)。玉楼。
「参差」長短不揃いで入り交じるさま。]
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