道化服を着た骸骨 大手拓次
道化服を着た骸骨
この 槍衾(やりぶすま)のやうな寂しさを のめのめとはびこらせて
地面のなかに ふしころび、
野獸のやうにもがき つきやぶり わめき をののいて
颯爽(さつさう)としてぎらぎらと化粧する わたしの艷麗な死のながしめよ、
ゆたかな あをめく しかも純白の
さてはだんだら縞の道化服を着た わたしの骸骨よ、
この人間の花に滿ちあふれた夕暮に
いつぴきの孕(はら)んだ蝙蝠(かうもり)のやうに
ばさばさと あるいてゆかうか。
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