日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第一章 一八七七年の日本――横浜と東京 15 何でも反対、日本とアメリカ
この国に来た外国人が先ず気づくことの一つに、いろいろなことをやるのに日本人と我々とが逆であるという事実がある。このことは既に何千回となく物語られているが、私もまた一言せざるを得ない。日本人は鉋(かんな)で削ったり鋸で引いたりするのに、我々のように向こうへ押さず手前に引く。本は我々が最終のページとも称すべきところから始め、そして右上の隅から下に読む。我々の本の最後のページは日本人の本の第一頁である。彼等の船の帆柱は船尾に近く、船夫は横から艪(ろ)を漕ぐ。正餐の順序でいうと、糖菓や生菓子が第一に出る。冷水を飲まず湯を飲む。馬を厩に入れるのに尻から先に入れる。
[やぶちゃん注:石川氏はさりげなくお洒落である。同じ“page”という単語を英語の本のそれでは「ページ」と訳し、和本の際には「頁」と訳している。
「いろいろなことをやるのに日本人と我々とが逆であるという事実がある」逆である直接的文化的理由が分かる訳ではない(むしろルーツを辿れないものの方が多いようだ)が「なんでも反対、日本とアメリカ」の頁が面白く、参考になる。]
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