中島敦短歌拾遺(4) 昭和12(1937)年手帳歌稿草稿群より(6) 元町点描二首
さしなみのもろこし人の家に行きチビ遊べども事變起らず
[やぶちゃん注:これは次の歌を見るに、山下町や元町の外人の居住地を詠んだものと思しい。「チビ」、長男桓(たけし)を詠み込んでいるところからは歌稿「Miscellany」にある「チビの歌」歌群の草稿である可能性が極めて高い。但し、相似歌はない。]
わたつみの碧に浮立つ銀杏の黄朝日さしくと黄金に燃ゆる
[やぶちゃん注:語句別案が二様に示されているので復元する。
わたつみの碧に浮立つ銀杏の黄朝日さしくと黄金に盛上る
わたつみの碧に浮立つ銀杏の黄朝日さしくと黄金にけぶる
「盛上る」は「さかる」と読ませたつもりであろうか。
この一首は歌稿「霧・ワルツ・ぎんがみ――秋冷羌笛賦――」の「ひげ・いてふの歌」歌群の草稿と考えて間違いない。当該歌群には、
朝づく日今を射し來(く)と大銀杏黄金の砂を空に息吹くも
朝日子に黄に燃え烟る銀杏の葉背後(そがひ)の海の靑は眼に沁む
の相似性を持った二首があるからである。後者の草稿は後に出る。]
« 我を厭ふ隣家寒夜に鍋を鳴らす 蕪村 萩原朔太郎 (評釈) | トップページ | 中島敦短歌拾遺(4) 昭和12(1937)年手帳歌稿草稿群より(7)……やばいよ……驚愕の恋歌を発見しちまった!!!…… »

