追跡妄想夢
今朝の明け方の夢。
*
砂丘のある海岸の遠足にクラスの生徒を引率している。
仲間外れの一人っきりの女生徒と一緒に二人っきりで歩くと、海に突き出でた丘の上に、立派な角を持った大きな牛が一頭、杭に繋がれている。
それが敵意を持って僕ら二人を凝視めているのが分かる。
危険を感じて傍らの狭いテトラポットの中に二人して逃げ込む。
隙間から牛が覗き込む。
それはあのピカソの描いたミノトールで、充血した眼は爛々と、だらだらと垂れる涎れが――
縄はもう切れてしまったのだ。――
僕は彼女を逃がそうと、ラビリンスのようなテトラポットの中を彼女の手を牽いてひた走りに走る。
後ろからテトラポットに当る鈍い蹄の音が響いてくる。
数段に積み重なったテトラポットの端に出た僕は、彼女を無理矢理、上に押し上げ、「さよなら」を言った――
――振り返ると――
背後から仁王立ちになって襲ってくるのは――
――雄牛ではなくて――
――二メートルもあろうかという白熊であった――
「ああ、これでおしまい……でも……彼女は助かる……」
*
と思った――ところで目が覚めた。――如何にも残念な気がした。――
フロイト的には分かり易い象徴がすこぶる無数だな――
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