鬼城句集 秋之部 冷/新涼
冷 葬送や跣足冷たき家來達
[やぶちゃん注:こうして見ると、鬼城はこうした遠い過去の、江戸時代辺りに巻き戻った空想の吟詠(こういうのを一般には何というのだろう? 私は仮想詠とか時代詠とか表現するのだが、ネット上には「創作」「空想」「古風」「詠史」「虚構」などとあるが、創作吟や虚構吟などと口にすると、これは何だか生理的に厭な感じがする。識者の御教授を乞う)が意外に多いことに気づく(水原秋桜子なんどは「俳句の作り方」で「空想句を詠まぬこと」などとのたもうているが、そもそもこういう禁止拘束を創作に持ち込んだ瞬間に芸術は鮮やかに芸術でなくなると私は考えている。糞喰らえ)。因みに私は最も時代を溯ったよく出来た仮想吟は服部嵐雪の「其浜ゆふ」に載る「蛇いちご半弓提げて夫婦づれ」であると勝手に思っている。]
冷やかに住みぬ木の影石の影
新凉 新凉や花びら裂けて南瓜咲く
新凉や二つ小さき南瓜の實
« 栂尾明恵上人伝記 63 承久の乱への泰時に対する痛烈な批判とそれに対する泰時の弁明 | トップページ | 空にひらく花 大手拓次 »