落葉のやうに 大手拓次
落葉のやうに
わすれることのできない
ひるのゆめのやうに むなしさのなかにかかる
なつかしい こひびとよ、
たとひ わたしのかなしみが
おまへの こころのすみにふれないとしても、
わたしは 池(いけ)のなかにしづむ落葉(おちば)のやうに
くちはてるまで おもひつづけよう。
ひとすぢの髮の毛のなかに
うかびでる はるかな日(ひ)のこひびとよ、
わたしは たふれてしまはう、
おまへの かすかなにほひのただよふほとりに。
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