しろい火の姿 大手拓次
しろい火の姿
わたしは 日(ひ)のはなのなかにゐる。
わたしは おもひもなく こともなく 時のながれにしたがつて、
とほい あなたのことに おぼれてゐる。
あるときは ややうすらぐやうに おもふけれど、
それは とほりゆく 昨日(きのふ)のけはひで、
まことは いつの世に消えるともない
たましひから たましひへ つながつてゆく
しろい しろい 火のすがたである。
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