鬼城句集 秋之部 牡丹根分/渋搗
牡丹根分 牡丹根分して淋しうなりし二本かな
澁搗 澁滓に蜻蛉の飛ぶ濱路かな
新澁の鼻もすさめぬ匂かな
[やぶちゃん注:「澁搗」とは青渋柿を臼で突き砕いて渋汁を醗酵させ、柿渋を抽出することを言う。渋取り。半透明で赤褐色を帯びた液体で柿タンニンを多量に含有する。防腐・防水・木質強化作用があり、魚網・釣糸・木工細工(下塗)・外壁塗装に用いられ、かつては特に団扇や番傘、紙衣に塗付された。発酵によって生じた酢酸や酪酸等を主因とする悪臭を有する(以上は一部でウィキの「柿渋」を参考にした)。]