日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第三章 日光の諸寺院と山の村落 20 男体山下山、湯元温泉へ
下山は登山よりも骨が折れた。私はこんな際限もない段段をポッコリポッコリ下りるよりも、カリゲインを十二度下りた方がいい。頂上から麓までの距離は七マイルというが、麓に来る迄にもう二十マイルもあったように思われたので、我々はよろこんで一時間を休憩と睡眠とに費した。この時日本の木枕を使った。涼しいことは涼しかったが、どうも具合が悪かった。五時、八マイル向うの湯元に向けて出発。私は元気溌溂たるものであった。
[やぶちゃん注:「カリゲイン」既出。ニューハンプシャー州ホワイト・マウンテン国立森林公園の中央に位置するキャリガン山と思われる。
「七マイル」11・3キロメートル。因みに下山も往路と同じ二荒山神社の同一ルートをとったものと思われるが、現在の同一コースは公称4・5キロメートルとあるから、この「七マイル」はどう考えてもおかしい。針小棒大である。モースの錯誤のように思われる。
「二十マイル」32・2キロメートル。
「八マイル」12・9キロメートル。これは私が想定した旅宿から計測すると湯元温泉まで12・5キロメートルはあるので数値に問題はない。それだけに「七マイル」というのは如何にもおかしいのである。]
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