鬼城句集 秋之部 草紅葉
草紅葉 土くれに二葉ながらの紅葉かな
砂濱や草紅葉してところところ
[やぶちゃん注:「ところところ」の後半は底本では踊り字「〱」。「〲」ではない。]
稻の中に夕日さしこむ紅葉草
[やぶちゃん注:「草紅葉」は多様な丈の低い草本類が秋に色づくことで、「草の錦」などとも言うが、最終句の「紅葉草」と言った場合は限定された種である双子葉植物綱ナデシコ目ヒユ科ヒユ属ハゲイトウ
Amaranthus tricolor の別称で、最終句もそれを詠んでいると考えられる。以下、ウィキの「ハゲイトウ」によれば、ハゲイトウ(葉鶏頭・雁来紅)は一年草で日本には明治後期に渡来し、花壇の背景や農家の庭先を飾る植物として広く栽培され、『アマランサス(ヒユ属)の1種である。主に食用品種をヒユ(莧)とも呼ぶが、アマランサスの食用品種の総称的に呼ぶこともある』(本邦でもかつて東北地方で小規模ながら「アカアワ」などという呼称で食用に栽培されていたとウィキの「アマランサス」にある)。『属名の Amaranthus は、「色が褪せない」の意味。そのために「不老・不死」の花言葉があるが、これは以前この属に属していたセンニチコウによるものである。種小名の
tricolor は「三色の」の意』。英名の Joseph's coat は、『旧約聖書に登場するヨセフにヤコブが与えた多色の上着のことで、鮮やかな葉色をこの上着にたとえている』。熱帯アジア原産の春蒔きの草花で、根は牛蒡状の直根、茎は堅く直立して草丈は0・八~一・五メートルほどまで伸びる。『葉は被針形で、初めは緑色だが、夏の終わり頃から色づきはじめ、上部から見ると中心より赤・黄色・緑になり、寒さが加わってくるといっそう色鮮やかになる。全体が紅色になる品種や、プランターなどで栽培できる矮性種もある』とある。グーグル画像検索「Amaranthus tricolor」はこちら。]
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