鬼城句集 秋之部 新獵/落水
新獵 獵犬の狩入る草の嵐かな
[やぶちゃん注:「獵」も「獵犬」も本来は冬の季語である。「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」(略称、鳥獣保護法/狩猟法)等によって十一月や十月に初猟が規定されている現在では、「新」を冠したとしても秋の季語たり得ない。こんなところも限定された概念を強制的に強いる季語そのものが最早機能しなくなっている証拠である。]
落水 落水浮草咲いて流れけり
[やぶちゃん注:「落水」は「落とし水」で、稲の花が終わりを迎え、稲穂が垂れ始める時期には(ほぼ稲刈の一ヶ月前)最早、稲には水が不要となるため、田の堰を外して水を流し落すことをいう。季語には他に「水落す」「堰外す」などがある。]
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以上で「秋之部 人事」を終わる。