西吹けば東にたまる落葉かな 蕪村 萩原朔太郎 (評釈)
西吹けば東にたまる落葉かな
西から風が吹けば東に落葉がたまるのは當り前で、理窟で考へると馬鹿馬鹿しいやうな俳句であるが、その當り前のことに言外の意味が含まれ、如何にも力なく風に吹かれて、鉋屑などのやうに轉つてる侘しい落葉を表象させる。庭の隅などで見た實景だらう。
[やぶちゃん注:昭和一一(一九三六)年第一書房刊「郷愁の詩人與謝蕪村」の「冬の部」より。]
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