鬼城句集 秋之部 落鮎/鱸
落鮎 川澄んで後さがりに鮎落つる
落鮎に水摩(す)つて行く投網かな
鱸 打網の龍頭に跳る鱸かな
[やぶちゃん注:ここにも描かれるように九月終わり頃、遡上していた川を下り始める鱸を川や河口・湾奥で獲ることから鱸は秋の季語とする。鱸は一部が純淡水域へ積極的に遡上する海水魚として知られ、琵琶湖にまで遡上した個体例や利根川で河口から百キロメートル上流まで遡上する例が確認されている(この例はウィキの「スズキ」に拠る)。なお、スズキは分類学上、動物界脊索動物門脊椎動物亜門条鰭綱棘鰭上目スズキ目スズキ亜目スズキ科スズキ属スズキ
Lateolabrax japonicas であるが、食用の海水魚の殆んどがこのスズキ目 Perciformes に属することはあまり知られているとは思われない。スズキ目は二十亜目百六十科の下におよそ千五百三十九属一万三十三種が含まれ、魚類のみならず、脊椎動物全体の中で最大の目でもある(この数字はウィキの「スズキ目」に拠る)。「龍頭」は投網に於いて網全体を一点に絞っている投げ繩の頂点の部分の名称。ここに打った投網を手繰り戻すための手繩が結ばれている。中本賢氏のサイト「多摩川クラブ」の「投網の打ち方」にある美事な図を参照させて戴いた。]
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季節に合わせるために明日より季題一項に変更する。