鶯のあちこちとするや小家がち 蕪村 萩原朔太郎 (評釈)
鶯のあちこちとするや小家がち
「籬落」といふ題がつけてある。生垣で圍われた藁屋根の家が、閑雅に散在して居る郊外村落の晝景である。「あちこちとする」といふ言葉の中に、鶯のチヨコチヨコした動作が、巧みに音象されて居ることを見るべきである。同じ蕪村の句で「鶯の鳴くやあち向こちら向」といふ句も、同樣に言葉の音象で動作を描いてる。
[やぶちゃん注:昭和一一(一九三六)年第一書房刊「郷愁の詩人與謝蕪村」の「春の部」より。]
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鶯のあちこちとするや小家がち
「籬落」といふ題がつけてある。生垣で圍われた藁屋根の家が、閑雅に散在して居る郊外村落の晝景である。「あちこちとする」といふ言葉の中に、鶯のチヨコチヨコした動作が、巧みに音象されて居ることを見るべきである。同じ蕪村の句で「鶯の鳴くやあち向こちら向」といふ句も、同樣に言葉の音象で動作を描いてる。
[やぶちゃん注:昭和一一(一九三六)年第一書房刊「郷愁の詩人與謝蕪村」の「春の部」より。]