鬼城句集 秋之部 朝顔
朝顏 朝顏のつる吹く風もなくて晴れ
朔日や朝顏さいて朝灯
[やぶちゃん注:私の母の実家は笠井という。母の父は、父の母の実の兄であるから私の父母は従妹同士なのであり、私には色濃く笠井の血が流れている。笠井家は加賀藩の家老だったらしいが、その先祖の一人は、主命であったのか自由意志であったか、はたまた乱心であったのかは知らぬが、何でも朝顔の植わった中で切腹して果てたのだと伝えられており、笠井の家では代々邸内に朝顔を植えてはならぬという家訓がある。考えて見れば、私も小学校の時、理科の宿題でシャーレで朝顔の発芽をさせた経験以外には朝顔の花を見たことがなかった。これは面白い禁忌の民俗伝承の一つとしてここに場違いに注しておくだけの価値はあろう。]
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